パン屋に行きましょうよパン屋にね。パン屋さんにね。あなたの街のパン屋さん。駅前にあるパン屋さん。スーパーの中のベーカリーコーナー。どれでも結構です。パン屋さんに行きましょうね。
パン屋さんに行くと迷うんですよね。大体狭い店内なのに迷うんですね。パンを選ぶ。これはもう本当に難しい選択。どれを選んだっていい。もう私は大人なので、やろうと思えば棚買いもできちゃう。でも私はもう大人なので、そんなことをしても全部を食べきれない。金はあるけど胃袋の余裕はないんですね。けれどもそんなことを悲しむ必要はない。だって選べばいいんだから。今日選ばなかったパンは次に選べばいい。ただそれだけのことなんですよ。
でも難しいんですよね。回り回って結局いつも同じものを買っている気がするんですね。これはよくない。その場の気分で決めちゃだめなんです。ローテーションを組んで、今日はこのパン。次はこのパン。そうやってぐるっと一周する。そしてそこに期間限定のパンを挟む。こうすることで余すことなくパンを楽しむことができるんです。無駄なく不足なくコンテンツを満喫する。可処分所得と可処分時間のない現代人はこういうところをおろそかにしてはいけないんですね。
でもそんなことをパンを買う時に考えたくはないですよね。食べたいものを食べたらいいんですよ。そもそもパンを食べたいからパン屋に来ているわけですよ。その中で具体的にどのパンを食べたいか。これはね、本質的な議論ではないわけです。なぜなら、どれを食べてもパンなわけだから。どれを食べてもパンを食べたい欲求は満たされるわけですよ。だから迷うという行動はある意味形式的なものでしかなくて、その結論がどのようなものであっても、言ってしまえば何にも影響はしないんですよ。
とはいえ気分というものがあるじゃないですか。今日はちょっとがっつり食べたいなとか。フルーツ系がいいなとか。比較的明確な希望があるのに、それに反して意地でもローテーションを守るっていうのは、逆にちょっと融通が利かない。VUCAの時代に必要なのは、その場その場の状況に合わせて柔軟に対応することでしょう。そう、対応力が大事なんですね。だから、今日はチキン系を食べたいなと思って店に入ったらソーセージフランクが目に入ってやっぱりこっちのほうが食べたいけどソーセージだったらぶっちゃけまるごとソーセージでもいいわけでわざわざパン屋で食べることはないんじゃないかなどと考える必要はなくて、今それを食べたいと思ったのだからそれを食べればいいわけです。
しかしここで気をつけるべきは、惣菜系と菓子系のバランスなんですね。私が食べられるパンの個数はせいぜい二つなわけですよ。三つはちょっと多い。食べられはするけども、多い。お値段も1000円の壁が見えてきてしまう。そうなるともうどこかのランチメニューに目がうつってしまう。わがままな消費者ですよね。でも、逆に言うと6~700円台なら気持ちよくパンを買えるとも言える。その限界個数が二つであるわけです。胃袋と財布の分界点が奇跡的に一致しているわけですね。だからここが重要。一つをソーセージにするなら、つまり惣菜系にするなら、もう一つは菓子系にしたい。パン・バランス理論がここで適用されるわけです。
でもそれってあまりにもルールを過大視しているんじゃないでしょうか。一つが惣菜なら、もう一つは菓子。そうしなければならない理由なんて、本来的にはないはずなんです。BANIの時代には、これまで常識とされた物事を疑っていかないといけません。食べたいものを食べる。選びたいものを選ぶ。ソーセージとチキン南蛮を選んだっていいんです。もちろん、クリームパンとあんドーナツを選んでもいい。大切なのはあなたの主観。今これを食べたいという、そのまっすぐとした感情なんです。
だから私は今日、これを選ぼうと思います。明太子フランスとベーコンエピ。