死に物狂い

他人から影響を受けやすい人間のフィクション日記

眠れずにアニソンを聴きたくなる夜もあるだろう

 普段音楽とともに生きているわけではない方の人間だが、どうにも眠れない夜にはそれに頼ろうとする気持ちにもなる。というよりは、ほかのことをしながら音楽を聴くという行為ができないので、音楽を聴くなら「聴こう」といった明確な意思が必要である。

 すべては眠るためではあるのだが、こういうときでないと腰を落ち着けて耳を傾ける機会もないから、必然的に感情の赴くままに聴くことになる。その日は、昔のアニソンが聴きたくなったのだった。

 具体的には、ぴよぴよの『虹と太陽の丘』を聴きたくなった。らんま1/2の、いつかのエンディングテーマである。幼少期に聞いたから、との点を差し引いても、らんまには印象に残る、よい曲が多かった。この曲もたまに、急に聞きたくなるのである。しかしながらこの曲は、いつ見てもサブスクにない。あまり期待していなかったが、その日もやはり見当たらなかった。柴咲コウ版はあるのだが、失礼ながらそういう気分ではない。

 

 どういう気分かといえば、すでにらんまの気分である。らんまと言えば、いつ探しても問題なく聴ける曲がある。だから、まずは『もう泣かないで』を聴こう。

 

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 暗闇のなか、ぼーっと天井を見上げて思いだすのは、さわやかながら非常にギャルゲっぽさのあるOP映像である。ほとんど女性キャラやないか。でもらんまってそういう作品ですね。ラストの八宝菜の音ハメが気持ちいいんじゃあないか。

 TV版とCD版で構成が異なっていて、それ自体はよくあることだが(今はどうだろう)、そういう場合はえてしてTV版のほうがしっくりくるものである。2番はAメロBメロが大幅に省略されていて、つんのめる。でも、イントロはCD版のほうが間があってかっこよく、イントロもポップで気持ちよいので結局どちらもよい。

 サビを含めて電童のW-Infinityと似ている。おそらくだが、同世代で両作品を見ていた人はみんな同じ感想を抱いている(無根拠)。マッシュアップした動画もあったように思うが、それはそれとしてどちらもよい曲である。

 

 

 ほかには何の曲がある? らんまの欄を見ていく。サブスクは時期によって聴けたり聴けなくなったりするものだ。目に留まったのは『ラヴ・シーカー CAN'T STOP IT』。この曲は何だったか、なんか「CAN'T STOP IT」って何回も言っていた。そんな気がする。

 

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 ボヘミアン・ラプソディみたいな曲を聴いたときに、「ボヘミアン・ラプソディみたいだな」以外の感想が出てこない程度には音楽知識が乏しくて恐縮である。今回も、最初はボヘミアン・ラプソディみたいだなと思ったのだが、進んでいくとバイシクル・レースなのかもしれない。いずれにしてもクイーンなのかもしれない。そうじゃないのかもしれない。

 TV版と大きく印象が違うのは、TV版がこの曲の本当に一部分しか切り取っていないからだろう。疾走感が押し込められてしまっているように感じる。なんか急にプログレっぽくもメタルみたいにもなるし、どっかで聞いたことのあるギターフレーズも出てきて、いつのまにかフレディみたいな歌い方をして、やっぱりクイーンなのかもしれない。すごく好き放題やっていていいと思う。眠ろうとしているこの現状には合わないが。

 

 

 ギターを聴いたせいなのか、目をつむりながらも、直感的に次の曲が頭に浮かんでいた。ゼロ年代に帰ろう。夜ではそれも許される。幻想魔伝最遊記の『FOR REAL』である。

 

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 やっぱりこの曲も、OP映像とセットで一つの作品感がある。誰しも猪八戒をまねて手から気功(?)を放っていたのではないか。ちゃんと笑顔で、目をつむりながらやる必要がある。

 サビに向かってだんだんとわくわく感が増していく曲だと思う。王道的な構成だと言ってもよいのだろうか。ドラムにあわせてついつい体がノってしまう。どっちがFOR REALで、どっちがSTILL TIMEだったかを混同しがちで、歳を重ねるつれて迷う時間が長くなっている。

 

 最遊記は4クールアニメだったようだが、正直なところ話の筋はあまり覚えておらず、一方でこれらの曲は印象に残っていることからすると、タイアップと習慣の強さを感じざるを得ない。でもEDテーマはあんまり覚えてないので不思議であるなあ、と思って流れに乗って聴いてみたところ、大変驚いてしまった。下川みくにの『Alone』。それはずっと探していた曲だったのである。

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 なぜだかEvery Little Thingの曲だと思っていて、何度探しても全く見つからないのでおかしいなと思っていたのだった。全然違うではないか。でもなんかの曲と似てる印象があったんだろうな。あるいは、持田香織の声色と被ったか。なお歌詞で検索しても見つからなかったのは、何一つ一致していなかったからである。

 

 深夜まで起きていれば、こういうこともある。これを収穫と言っていいかは分からない。しかし、眠れなくてよかった。下川みくにの歌声に包まれながら、私は眠りに落ちていった。