死に物狂い

他人から影響を受けやすい人間のフィクション日記

2024年に遊んだゲーム(of the Year)

 今年は80作品ほどプレイしたらしい。覚えているものを振り返っておこう。

 

 

最も印象に残ったゲーム

未解決事件は終わらせないといけないから

 基本的にストーリーがないとゲームができない人間なのだが、ストーリーだけなら本を読めばよいとなってしまうため、システムとしても面白いものを求めてしまう。そのような身勝手な消費者として、本作は短いながらも非常に印象に残った作品だった。

 未解決事件と呼べる出来事があったらしい、という曖昧な情報から始まるところ、まずもってゲームとしてやらねばならないことの導入がわかりやすく、迷わない。ストレスなく物語に没入していくことができる。

 過去の事件における証言をひとつひとつ見て、証言内容や語り口から誰の証言なのかを特定し、時系列で並べ替え、実際に何があったのかを解き明かしていく。うまくはまった時にはオブラディンと同じような快感がある。

 そして話が戻るが、何と言ってもストーリーである。タイトルから身構えていてはいたのだが、段々と浮かび上がる事件の骨格は予想と異なり、そっちの方向に行くのかと膝を打った。エンディングを含めて、人の優しさに触れられる作品だと思う。

 

印象に残ったゲーム

SANABI

 基本的にストーリーがないとゲームができない人間なのだが、以下同上。冒頭からストーリーテーリングの緩急に一気に引き込まれた。概して、シリアスな雰囲気の中のコミカルなやりとりが好きなのだと思う。無音のライブ会場みたいな緊張感が漂う一方で、息苦しくはなく、しかし今喋っている人物も簡単に死んでしまいそうな、そういう怖さが常にある。

 バイオニックコマンドー的なアクションは非常に爽快で、スタイリッシュに決めるのがなかなか難しいところも多かったが、とにかくシュビンシュビンと動き回れるのが楽しかった。ただ、段々と、途中で挟まるステージ上のギミックがめんどくさくなってくる感覚もあった。早くストーリーを進めたいがゆえに、いかにもゲーム的なステージ構成が、ちょっと邪魔に感じたのである。しかしそれらを省くと、ボリューム的にも作品的にもより小粒になってしまうだろうから難しいところではある。

 

Baldur's Gate 3

 間違いなく面白い。面白いのだが、クリアまでは到達できなかった。主な理由は、ダイスのシステムがどこまでいっても肌に合わなかった点にある。

 できるだけ最善は尽くすが、最後は時の運と流れで決まる。もちろん、準備すればするだけ行動の確度は上がるのだが、その準備にどれぐらい時間を費やせるか、言い換えるとその点に面白みを感じられるかどうかがプレイを続けられるかどうかの分水嶺に思った。そして私はそこが合わなかった。レベルを上げて物理で殴らせてくれ! となってくる。

 それはそれとして、色々な意味で何でもありな世界を歩くのは楽しい。世界の広さがあるわけではないが、何かを経験するにつけ、こんな世界で生きたくな~いと思わせられるのはよいゲームである。

 

龍が如く

 龍が如くの戦闘システムが肌に合わなかった人間にとって、ターン制コマンドバトル形式になった前作の7は結構革新的だった。その流れを受け継ぐ最新作ということで楽しくプレイできた。一方で、如くシリーズのプレイ遍歴が0、1、7、そして今作の8というシリーズファンとは到底名乗れない私だが、8で感じたのは、物語上の敵を作る難しさである。

 そもそも如くシリーズは、主人公側が任侠の住民という、どちらかというと社会悪に属する皆さんであり、どれだけ格好いいことを言おうが・やろうが、それらをそのまま受け取ることができない部分があった。ただ、任侠の世界の中での善悪みたいなものはあって、そこで登場人物たちが意地と意地をぶつけ合って物語が構成されていたわけである。言い換えると、狭い世界の戦いである。

 しかし、そんな任侠の世界は7で完結(あるいは崩壊)を見て、今作ではその後を描こうとしていた。だからストーリーの入りはとてもよかった。一般人として生きようとするが世間がそれを認めないとか、どうして出所後に再犯が起きてしまうのかみたいな、じゃあそういう世界で春日一番はどうやって活路を開いていくんだ!? という期待感があったのだが、そこからハワイに行って、地元のギャングとぶつかって、国と財閥を巻き込んだ陰謀を明らかにして、と何だか話がデカい。かと思えば、色々あってまたヤクザ同士で戦ってどうこうという流れもある。

 結局一番たちは何と戦っていたのか。この手の雰囲気についてはよく言われるように、本作もどこかアペンドディスク感があった。ヤクザという舞台装置がなくなったことによって、物語の目指すところが見えにくい。

 めちゃくちゃ地味だとは思いつつだが、これであれば日本国内でヤクザのセカンドキャリアをどうするかについて、冒頭の入りからそのまま続けて語ってくれたほうが、個人的にはより物語に没入できたのではないかと思った(放射性廃棄物の行く末や、暴露系VTuberといった形で世相を反映しようとするならむしろ、という感じである)。

 ともあれ桐生ちゃんが幸せならそれでいいな。

 

LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶

 じゃあヤクザがいなくなった龍が如くはどうすればいいんだよ、との問いへの答えはこの作品になるのだろう。探偵でいいんだよ探偵で。しかも弁護士資格があるから代理人にもなれるぞ。法廷ドラマも描けます。

 こちらも敵役のスケールが大きくなっているので、次作を作るにしてもどうするんだ感はあるのだが、権力との対峙という構成を取ること自体にそんな違和感はない。

 ところで、近時に『PROJECT CENTURY』と呼ばれる龍が如くスタジオの新作が発表されたが、特定の街を舞台にしてとある事件が起こり、その真相を解き明かすべく動いていく、とのデザインはやっぱりとても面白いので、これまでのキャラクターや世界観にこだわらず、作品が発表されていくと嬉しい。

 

Detroit: Become Human

 PS4でDLしていたのだが、そのPS4を手放してしまったため結局これまでプレイせずにいた一作。というだけでなく、ヘビーレインのプレイ時に結構精神的に疲れた記憶があったため、半ば意図的に避けていたのだが、さすがにそろそろプレイしておくべきだろうと思って遊んだ。非常に面白かった。

 概ね一挙手一投足が物語に影響するため、常に心拍数が上がる。善人プレイしかできない人間にとっては、洗濯機から服を盗むか、不法侵入するかで真剣に嫌な気持ちになり、嫌な気持ちになりながら仕方なくフェンスを破った。

 本作をプレイして思ったのは、仮にこのようなアンドロイドが現実に実用化された場合、今あるような人種差別の問題はもはや存在しなくなっているのかということである。アンドロイドやエイリアンをメタファーとして用いて、現代の人種差別問題を論じるのは珍しくもないと思うが、本作では人間対アンドロイドの対立が描かれる反面、人間同士の争いはとくにピックアップされない。アンドロイド派と反アンドロイド派の衝突はありそうだが。

 エンディングを迎えて、比較的みんなが生き残るルートだったこともあって、もう一度やり直そうとは思わなかった。別のルートではどうなるんだ? という欲求が起きなかったのである。もうこれ以上、彼ら・彼女らを動乱に巻き込みたくない。

 

Factory Town Idle

 Idle系のゲームをプレイしてはならない。なぜなら常に脳のリソースの一部がそちらに割かれるからだ。放置してればいいはずなのに、「その放置の仕方で本当にいいのか?」との疑問に苛まれるため、結局常時マルチタスク状態である。

 あっちが立てばこっちが立たずを修正して様子を見るを繰り返すような格好であり、上手くバランスしたときには言いようがない快感が生まれるのだが、非常に危険であり。用法用量を守りつつ活用したい。

 

Palworld

 色々言われて仕方のない作品ではあるが、ゲーフリと株ポケに、先にこういうゲームを作ってほしかったとやはり思わなくもない。アルセウスの進化に期待。別記事でも書いた。

sorobanya.com

 

ゼルダの伝説 知恵のかりもの

 あまりにもかわいい。別記事で書いた。

sorobanya.com

 

Crime Scene Cleaner

 これもシステムと物語がうまく組み合わさった作品と思う。別記事で書いた。

sorobanya.com

 

ANIMAL WELL

 年末駆け込みプレイ。これまでに挙げた作品とは異なり、ストーリーらしいものは特にないのだが、次に何が起こるかわからない面白さと怖さを全編とおして与えてくれる非常に面白い作品だった。操作感が気持ちよく、アクションゲーとしての品質が高いことに加えて、何と言ってもやはり「何かやばいことが起きそう」感である。実際のところは起きたり起きなかったりするのだが、起きたら「やっぱり!!!」と楽しいし、起きなかったら起きなかったで「やっぱり!!!!!」とやはり楽しかった。かわいいと怖いと気味が悪いの三拍子が揃った、素晴らしいプレイ体験だった。えっ、たまご集め? いいじゃないですかその話は。

 

 

最も長時間遊んだゲーム

ストリートファイター

 一つのゲームをこれほど長い時間・期間プレイしたのは子どもの頃以来で、さらに言うと対人ゲームをちゃんとプレイするのは人生で初めてだったかもしれない。とりもなおさずそれはモダン操作が導入されたおかげであり、そしてキンバリーの魅力あふれるキャラクター性のおかげであり、それに加えて競技シーンの面白さもあったからだろう。

 日常的に触れるコンテンツへの影響は大きく、蓋を開けると、今年一番Youtubeで見たのはプロ格闘ゲーマーかずのこ氏のチャンネルだったという。寝るときにラジオ代わりに点けているのが主な原因だろう。配信内容が落ち着いているので非常に聞き心地が良く、自分が寝ている間に誰かに起きていてほしい人間にとっては最良のチャンネルである。

 

(模範的VTuberリスナー)

 

 SFLやカプコンカップを含めて、日常的に閲覧するコンテンツが増えてよかったと感じている。年がら年中何かしらの大会が行われていて素直にすごいと思う。

 来年もぼちぼちプレイを続けていく感じになろうかなと思っている。