死に物狂い

他人から影響を受けやすい人間のフィクション日記

BitSummitに行ってきた(遊んだゲームのメモ)

 

 BitSummitに行ってきた。毎年京都で行われている、インディーゲームの展示会である。今年は『BitSummit Drift』との表題らしい。せっかく足を運べる距離であるのに、毎年開催日が過ぎてからその存在を思い出し、来年こそはと思いながら歳をとっていたところ、今年は無事忘れずに参加することができた。

 

bitsummit.org

 

 BitSummitでは出展された様々なゲームを試遊できる。と言っても、特に目当ての作品があったわけではない。お祭り的な熱気を浴びたかったのである(本物の「祭」に行く気力はない)。結論として、行ってよかった。熱気を浴びるという目的は容易に達成され、非常に楽しく一日を過ごせた。

 

・盛況だったが、その場にいるのが嫌になるほどの人混みではない。会場内での移動は容易であり、試遊の順番を長く待つようなこともない。全体的にちょうどよい感じである。言い換えると、これ以上増えるとなかなか厳しそうな雰囲気があった。そうなると、おそらくほとんど何もできなくなってしまうのではないか。身動きは取れないし、試遊もできない、会場外に出るのも難しい。しかし、BitSummitはそのような状況ではなかった。

・国際色が豊かであり、特に出展側は海外勢の方が多かった印象である。アジアもヨーロッパもアメリカも。出展者の方々と話して私は思った。英語はできたほうがいいですね(自明)。

・立ち位置的に仕方がないのも分かるのだが、学生作品の展示エリアはちょっとかわいそうな感じがした。展示スペースを確保するためと思われるが、壁に対して垂直にテーブル(試遊台)が並べられているのである。すると、通路側からプレイ画面を眺めることができない。誰かがプレイしているのを見て自分もやりたくなる、というのはゲームあるあるだと思うが、それが起こりにくい環境に思われた。

・身も蓋もないが、グラフィックは重要な要素であると実感した。このような場において、来場者の目を引けるかどうかは難問である。美麗であるかどうかというかは(もちろんアセットストアから寄せ集めましたみたいなのは別の問題があろうが)、文字通り「目を引けるか」である。とはいえ、人によって好みは違うのであり、これだけ来場者がいれば誰かの嗜好にはヒットするのではという気もした。

・会場内を歩くインフルエンサー、の後ろをついていくファンの行列。そのうちの一人が「ストーカーみたいだが今日だけは許してほしい」と同行者に話す。楽しそうでよい。一方私は、壇上にいる生のわいわいさんを見て、「あっ、わいわいさんだ。」と思っていた。

 

 以下、プレイして面白かったゲームについてのメモ。

 

BARC

 現実のバーコードリーダーとレシートを使ったゲームである。言葉で説明するのが難しいが、下記の動画を見ると雰囲気がよく分かると思われる。

 

www.youtube.com

 画面上のベルトコンベアをスイカや牛乳といった商品が流れている。それらのうちどの商品が欲しいのかをお客の猫が指定(注文)してくる。その指定内容は現実にレシートとして排出される。指定された商品をバーコードリーダーでスキャンする。これが基本である。猫は同時に複数登場するので、どの猫の注文に応えるのかを選択する必要がある。その操作に用いるのが各レシートである。各レシートにはバーコードが付いており、それをスキャンすることによって、ゲーム内で対応する猫に照準が当たる。

 注文は次々とやってくるので、机の上がレシートでどんどん埋っていく。きちんと整理しないと、対応を終えたレシートと新規のレシートが入り混じり、わけがわからなくなっていく。

 一定時間(数かもしれない)注文をさばくと、ボスキャラが登場する。ボスの各部位にもまたバーコードが付いており、これをスキャンすることで攻撃(レーザーを発射)が可能である。しかし、部位によって効果のあるレーザーの色が異なる。この色は、レシートをスキャンすることで変更できる。このとき、レーザー変更用のレシートが、注文済みレシートの山に潜り込んだりするとなかなかパニックである(見ている分には面白い)。この作品があるだけで、その場が面白くなるように感じた。各ゲームセンターに一つはあってほしい。(1プレイのレシート排出量からすると現代ではサステイナブルではないなどと言われるのかもしれない)

 私の前でプレイを終えた方は、「This is e-sports!」と唸っていた。私もそう思った。

 

Ex Nihilo

bitsummit.org

 

 10分間の時間制限下で宇宙船(?)からの脱出を試みるゲーム。脱出経路は複数存在し、どれを選ぶかはプレイヤー次第。プレイ時間の経過とともに敵が登場するが、反撃の手段は持たない。その代わり、自分が目を閉じることで、敵からも自分が見えなくなる。このルールを用いてやり過ごしつつ、出口を目指していく。

 メトロイドのようなゲームであるとの説明を受けた。どのように探索してもよいとの趣旨だったが、わかりやすい。自分の行動にかかわらず、バックでは10分のタイマーが常に流れており、焦燥感と緊迫感の中で楽しく遊べそうである。

 一定程度プレイできる形にしたのはこのBitSummitが初めてとのことで、開発の方が気さくながらも少し緊張な面持ちだったのが印象的だった。せっかくなので遊びたかったが、どのタイミングに行っても試遊台が空きそうになかったので断念。デモ版が公開されたら遊んでみたい。

 

Moonbase Lambda

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 宇宙船からの脱出を試みるゲーム。図らずもEx Nihiloと同じ雰囲気のテーマだが、グラフィックの方向性は真反対。画面に惹かれて気づくと試遊していた。

 ゲーム内において、探索のルール(マップの見方)等の説明が少なく、攻略が進んでいるのかどうかが見えづらかった。操作感はよい。リプレイ前提のデザインかと思うので、製品版が出たらじっくり遊んでみたい。

 

Crow Country

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 初代バイオハザードフォロワー。こういうゲームは見ると触れたくなる。操作感も含めて、難易度は高めな雰囲気があった。英語版はすでにリリースされているそうだが、謎解きなどを考えると、日本語でプレイしないと色々と難しそうである。じっくり腰を据えてプレイしたい。なお、当日展示されていたのは日本語版であり、プレイした範囲では特に翻訳に違和感なく楽しめた。

 

Bionic Bay

bitsummit.org

 

 触っているだけで楽しいタイプのゲームである。雰囲気・システムはINSIDEっぽく、そこからキャラクターの動きをよりスムーズにした感じ。加速→ジャンプ→ダブルジャンプのような動きや、物体と自分をテレポーテーションで入れ替えて進むなど、タイミングを図った操作と、それがうまくいったときの気持ちよさがとても楽しかった。

 このような作品は、ステージを重ねていくと、使用するギミックが増える反面直感的なを要する場面が減り、その結果として楽しさが逓減する印象があるので、そういった点が薄まっていると嬉しい。製品版がリリースされたらプレイしたい。

 

Gloomy Juncture

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 グラフィックにとても目を引かれた。ヒッチコック好きな開発者が全て手書きから起こしているらしく、それもあって開発に時間を要しているとのこと。消費者的には早くプレイしてみたいが、このような作品の場合は、そこで妥協すると作品全体の魅力が落ちてしまうだろうから難しいところである。

 パズルが主だが、ストーリーはしっかりと練っており、ホラーっぽさもあるが、ジャンプスケアはない。非常に安心できる説明を受けた。個人的に好きな要素が詰まっていそうだ。ただ、ストーリーが観念的だったり抽象的だったりで、付いていけなくなってしまいそうな雰囲気もなんとなく感ずるので、その点は少し心配ではある。いずれにしてもリリースされたらプレイしてみたい。なお、全く趣きは異なると思うが、ちょっとThirty Flights of Lovingを思い出した(ちょっと角ばっているからか?)。