とあるゲーム配信を見ていた時のことである。プレイが佳境に差し掛かり、配信者が高まったテンションで「やばすぎるッピ!」と言った。コメント欄を見ると、視聴者が思い思いにツッコミを入れていた。
私といえば機械的に元ネタを思い出していたのだが、誰もが同じものを想起したわけではないようだった。視聴者層的にはニコ動を経由してきた人が多そうだから、おおむね同一のものを思い浮かべたのではと思いつつ、必ずしも全員が同じ動画に触れてきたとは限らない。よく考えれば当たり前のことである。
「タコピーやめろw」と、まず目についたのはそんなコメントだった。そうか、現代において「ッピ」と言えばタコピーなのだ。あれほどインターネットを沸かしていたのを見ていたのにもかかわらず、その事実に今日まで気づいていなかった。
一昔前であれば、それは穴久保ピッピであり、デクナッツであり、あるいはキスケだったのかもしれない。しかし、ポケモンの連載は完結したし、デクナッツも作中での登場機会がはたと消えた。おじゃる丸はまだ放送中だが、キスケの語尾は公式には「ピィ」らしいので、実は微妙に違う(そうなんだ)。
もちろん、コメントでは彼らについての言及もなされていたわけだが、数年後には見られなくなっているだろうか。そもそも「ッピ」を擦る人が、もはやいないかもしれない。とはいえ、本来的にネットミームとはそういうものなのだろう。一方で、同じ表現でありながら、世代によって異なる意味合い・文脈で用いられることもあろう。発端が認識されないままに現存しているものも珍しくない。そういうものは、言い換えれば、文化になったということなんだろうな。