死に物狂い

他人から影響を受けやすい人間のフィクション日記

私たちはWake Up, Girls!に近づけたか(あるいは、WUG曲カラオケオフ感想メモ)

 10月6日(日)に開催されたワグナーカラオケオフ会に参加してきましたので、その感想等を書いた記事です。よろしくお願いいたします(5000字程度)

 

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オフ会概要

カラオケボックスでWUGちゃんの曲と関連曲を歌うオフ会です

・歌のパート分けを行い、なるべく歌割りを再現するように歌います

 

(最初に)謝辞

 企画その他準備をしていただいた吾解さん、および一緒の時間を過ごしていただいた参加者の皆さんに心からの御礼を申し上げます。非常に楽しく有意義な時間でした。

 以下、精神的記述。

 

セットリスト

 

個人的セトリ解説

 このオフ会の特徴は二つあるのですが、一つが「自分たちでセットリストを組んでみよう」というものでした。

 「意味のないセトリなんて一つもないんです」とは永野愛理さんの言葉ですが、どれもこれも聴きたい・歌いたい曲揃い踏みのWUG楽曲の中から、一部を選択し組み合わせる。言い換えれば、「この曲は歌わない」という選択をしていかなければならないわけで、WUGちゃんたちの行動をなぞることによって、その過程で何が起こるのか、7人の思考回路を垣間見られるのではないかとの期待を込めて実施されたものです。

 当日の約一ヶ月前にDiscord上に集まったワグナーさんたちは、それぞれ個性にあふれる方ばかりでありながら、曲と歌詞に対して真摯に向き合う姿勢は共通しており、みんなでああでもないこうでもないと言いながら、時に脱線しつつ、日が周り、学生時代に戻ったかのようにアドレナリンが頭を支配しつつあったなかで、何とかセトリは完成しました。とても楽しかったですが、とてもしんどかったです*1

 実際にWUGちゃんたちがどれぐらいの期間でセトリを決めていたのかは知りませんが、日を跨いでの議論となったことは想像に難くなく、しからばそれだけの想いが詰まっていることでしょう。改めて各ライブを見直し、それらのセトリ一つ一つの意図を噛み締めていきたいと感じました。

 

 セトリの議論にあたっては、大まかに言って、アンコールを除き全体を5つのブロックに分け、それぞれに一定のテーマ性を持たせよう、との前提で話が進んでいきました。

 

 第1ブロックは、「始まりから次のステージへ」をイメージした楽曲群です。『僕らのフロンティア』で歩き始める物語は、『リトル・チャレンジャー』、『outlander rhapsody』、『プラチナ・サンライズ』の荒々しい道中をはさみながら、「再起・スタート」の意味合いを持たせた『タチアガレ!』で幕を閉じます。

 当該ブロックだけでWUGちゃんの6年間を描いている…とまで言うのは意味を持たせすぎかもしれませんが、気持ちとしてはそういう感じです。また、セトリ全体を始まりを示す意味合いもあります(あるはずです)。

 

 第2ブロックは、形式的に言ってしまえば楽しくて盛り上がる曲を集め、裏テーマとしては青山吉能さん(を筆頭とする7人)の歩みを表したものです。一部では「よぴぴゾーン」と呼ばれていました。

 具体的には、WUGでデビュー(7 Girls War)し、大学に進学(SHIFT)。厳しい競争をくぐり抜ける毎日(運命の女神)を過ごして、都会の空気にも慣れていき(地下鉄ラビリンス)、見事に主役を勝ち取る(恋?で愛?で暴君です!)、という具合。ご本人を何かと題材にしてしまうのは、それだけ青山さんが人間性にあふれているからということで、ここは一つ大目に見ていただきたい所存。

 

 第3ブロックは、「君」との関係を意識した甘い曲を集めたもので、通称「君とプログレスゾーン」です。ところで、君とプログレスの「と」はtoの意味なのでしょうが、andとも解す余地はありやなしや。

 「君」の解釈は多々あれど、ここでは一義的にワグナー(あるいはワグナーから見たWUGちゃん)として、互いに支え合った日々に想いを馳せる趣向でした。たとえそれが一方通行的なものであったとしても、ですが。

 

 第4ブロックは、重たい曲を集めたもので、通称「しんどい季節」ゾーンでした。みんな大好き辛く悲しい感情。I-1曲の二つは捉え方にもよりますが、「救いはあるけれども決して楽ではない現実」を歌っていると考え、ここに置かれました。我等ながら『土曜日のフライト』、『Jewelry Wonderland』、『言葉の結晶』を並べられたのは良かったのではと思っています。

 消耗しきった感情を『少女交響曲』で引き取り、「それでも前を向いて歩いていくんだ」と『止まらない未来』で前向きな意思を表明する。辛さを乗り越えて進む、らしい表現になったのではないでしょうか。個人的には、このセトリ一番のお気に入りブロックでした。

 

 第5ブロックは、しんどい季節を乗り越えた先に何が見えるのかを示そうとしたもので、私は勝手に精神的昇華ゾーンと呼んでいました。アニメ版を意識した部分もあるでしょう。

 『Beyond the Bottom』をセトリのどこに置くかは、採用するかも含めて非常に難しいポイントだと感じました。この曲は原作と現実、二つの世界の物語を一身に背負っていて、さらに曲自体が強いこともあって、メッセージ性が固定化されかねません。Beyond the Bottomが歌われると、そこはBeyond the Bottomの世界になってしまうのです。

 このため、使うのであれば「区切り」を印象づける箇所でなければならないなとの話になり(なった気がする)、ここに落ち着きました。止まらない未来で前を見た感情を、一気に舞い上げる感じですね。

 Beyond the Bottomを歌い上げて達観した想いを、『言の葉青葉』で固めて、最後は『Polaris』で締める。「破壊と再生」っぽさもあり、いつかの福山聖二さんの名言も回収できたのではないでしょうか。肩を組んで大団円を迎えた後、私たちは精神的退場を迎えます。

 

 アンコールを何で始めるのかも難題の一つでした。それまでの流れが完全に断ち切られたあとで、もう一度気持ちを最高潮へと持っていく。もちろん、そうではない選択があってもよいでしょう。それはセトリの哲学に左右されるものです。ただ、今回においては、基本に忠実に、場を盛り上げられるような曲を選ぶのがよいだろうと思われました。

 そうするには、ハイテンポな曲を持ってくれば間違いがないのでしょうが、その要素に拘束されるわけではありません。曲調にかかわらず盛り上がる曲がWUGにはたくさんあります。

 そうしてアンコール一発目に選ばれたのはHIGAWARI PRINCESS(全員ver)でした。5周年記念ライブセトリののアレンジとも言えるでしょうか。単にアンコール1曲目に聴いてみたかっただけではありますが、置いてみると大変据わりがよいのではないかと思います。

 一音目が流れた瞬間に会場中が湧き上がり、さらに全員PRINCESSverであると分かった瞬間、もう一段階ボルテージが上がる。そんな光景が目に浮かんだんですね。ありそうじゃないですか? 実施にそういうライブを観たことがある、と錯覚する程度に。

 あとはTUNAGOで未来と今を繋ぎ、しんどい季節を知っているからこその極上スマイルで物語を終える。全体を通して描きたかったテーマが何なのかと問われれば、私は明確な答えを持ち合わせていませんので他の方にお任せします。ただ、全編を通して歌った時、そこから私たちの知っているWUGらしさを感じられたのではないかと、強く思うところです。

 

歌ってみて分かること

○難しいなと思った部分 

 本オフ会におけるもう一つの特徴が「歌割りの再現」でした。一人でカラオケで歌うのと何が違うのか。そんなことを考えていました。

 歌が割られるというのは、自身に割り当てられたパートに責任を持つと同時に、その他を他者に任せるという、二つの意味を持つと思われます。一人で歌えば4分~5分は声を発し続けるわけですが、割ると半分以下になる。サビ部分を抜けばその数字はさらに小さくなります。

 そうなると、自分がそこを任された意味を理解し、役割をまっとうする意識が必要になってくるのでしょう*2。なんとなくではいけないのだと思います。他でもない自分なのは何故なのか。そして、それと同時に、他のパートが他のメンバーに当てられた意図にも考えを及ぼす必要があろうと思われます。自分のパートだけで曲が成立するわけではないのですから、完成形として提示されたものが、そのようになった理由を咀嚼して理解する。表現に正解はないと思いますから、何が正しいかではなく、どう解釈するかが肝要です。

 今回私は山下七海さんパートを担当させてもらったのですが、印象的だった曲の一つに土曜日のフライトがあります。この曲において山下さんは、サビ直前の「なのか」まで一言も発していません*3。しかし、ここの「なのか」は、続く吉岡さんの諦めが混じる「緊張していた」につなげる、非常に大切なポイントだと感じるのですね。

 そんなパートを、第一声目にして表現しないといけない。大概のスポーツにおいて、途中出場には一定の難しさが伴いますが、それと同じような話だと思うのです。音を外さないという基本的な技術だけではなく、必要となる感情を乗せる。そして次に繋ぐ。これってとても難しいことだと思います。しかも踊りながらですから、考えておかなければならないことがたくさんある。事前に整理はしておいて、本番ではそれらを出し切るだけだとしても、そのためにどれだけの時間を要するのかは想像もできません。そうした難しさや、7人が積み重ねてきたものの片鱗を感じ取れただけでも、このオフ会には意義があったと思う次第です。

 また、根本的に「自分のパートだけ歌う」のは難しいです。ヒトカラに慣れすぎているせいもあるでしょうが、非常に混乱します。つい他のパートも歌いそうになってしまいますね。

 

 別観点では、体力的限界を迎えました。考えながら歌うのはかなり疲れます。これにダンスが加わるなんて常人の所業ではない。しかも一日に二回回し? 2days4公演? 3days5公演? (ヾノ・∀・`)無理無理

 

○楽しかった部分

 なんと言ってもユニゾンと掛け合いの部分(難しいけどハモリも)。7人で歌うことを想定されている曲を1人で処理しようとするのは土台無理があるのですが、やはり正しい形で歌われてこそ、楽曲たちの本当の魅力を感じられるような気がします。現実的な点としては、とても息がしやすい。

 楽しさを感じた曲筆頭は『SHIFT』でした。サビの部分が顕著ですね。特に落ちサビ(?)。山下さんの見せ場ということもあったのですが、他メンバーのコーラスを受けながら歌う「つかめないよ でも」はとても最高。

 

 

 止まらない未来もとても良かったです。ラストの一人一人言葉を繋いでいくところ。互いの信頼感まで表現できていたかは定かではありませんが、曲と人と空間とが一体になれていたのではと感じています。

 

 別の視点では、「コールを受けて歌うのはとても楽しい」と分かったことも、大きな収穫だったと思っています。ともすれば独りよがりになってしまう行動であり、壇上から「声を出せ」だの、「みんなの声から力をもらってる」だの言われても、個人的には「ほんまかいな」と疑ってしまうことがあったのですが、自分が受ける立場になると、確かに大変に元気をもらえました。コールって鼓舞なんですね。だからというわけではですけれども、今後声を出せる機会があれば、そこはしっかりと喉を震わせていきたいと思いました。なお、MIXの是非については有識者におまかせします。

 

 最後に余談ですが、7人とユニゾンしている感じが非常に楽しかったので、ライブBDを投影しながら歌うのは、企画の一つとしてありかもしれません。*4

 

個人的な総括として

 不思議なもので、久しぶりにWUGのライブを観て帰ってきた感覚を覚えています。そして、案外にそれはそうだったのではないかとも感じています。言うまでもなく、目の前に7人がいたわけではありません。しかし間違いなく、そこにはあの日と同じ空気がありました。

 ワグナーも含めてWake Up, Girls!*5であると仰ったのは、我らがリーダー青山吉能さんだったと思いますが、それが現実のものとなっているのではないでしょうか。 

 よぴぴ野球*6にしろ、WUGバンドセッション*7にしろ、Wake Up, Girls!に絡めて何かをしようとする。特に何も無いけど東北を訪れる。本当に何もないのにツアーの会場を回ったりする。規模の大小は関係なく、そうやってワグナー一人一人が考えて(あるいは純粋に楽しさを求めて)行動している。当時の残滓を求めているだけとも言えるし、単なる単推しの延長線上の行動かもしれません。しかし、それがコンテンツが続くということであり、今主体となっている私たちもまた、Wake Up, Girls!だと言えるのではないかと、この日の経験を通じて、そんなことを思った次第です。とはいえまだあの日から、一年も経ってはいないのですけれども。

*1:仕事よりも頭使ったんじゃないか

*2:青山さんもそんなことを仰っていた気がしますが

*3:その意味では、高木さんと青山さんも同様ではあります。

*4:企画するとは言ってない

*5:デンモクでは半角なんですよね。エクスクラメーションマーク

*6:声優・青山吉能さんの髪型はショートとロングどちらがいいかとの論争に端を発し、それぞれの派閥が決着をつけんと行われた草野球の試合。球審キビタキビオ氏。古き良きインターネットの香りが漂う。当日はツイキャスを介し、元アナウンサー志望者による実況中継も行われ、一部界隈で大いに盛り上がった。なお、試合は5-3でショート派が勝利した。

*7:有志により行われている、WUG曲を中心としたバンドセッションオフ会。楽器が弾けなくても歌で参加可能