死に物狂い

他人から影響を受けやすい人間のフィクション日記

心配なんですよね、久海菜々美さんのことが

 本格的に冬到来、年末進行で忙しくなる今日このごろ。こんなときはWUGちゃんのことを考えるのがぴったりですね。というわけで本記事は『Wake Up, Girls! Advent Calendar 2022』17日目の記事です。昨年に引き続き参加させていただきます。

(企画御礼 to ておりあ(@_theoria)さん←本年もありがとうございます)

 

adventar.org

 

 昨日はむさしたあさんのご担当でした。

musashitaa.blog.fc2.com

 

 そして明日はておりあさんのご担当です。

(覚え:後にリンクを追加する)

 

 なお、過去にも本記事と似た趣向のものを作成していたので、よければこちらもどうぞ(宣伝)。

 

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 やっていきましょう。

 

 

 

【動画版】

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 心配なんですよね、久海菜々美さんのことが。

 

 

 何が心配かって、いや、非常に余計なおせっかいじゃないかっていう気もするんですが、でもやっぱりどうしても心配に思ってしまうんですよね。

 

 

 久海さんって、学校で上手くやれてるんでしょうか。

 

 

 

 いや、失礼な話だとは思うんですよ。勝手にね、有る事無い事考えて、心配して、大丈夫かなんて。そもそも杞憂だとも思うんですよね。私たちが知っている久海さんがどういう人かというと、すごいいい子ですよね。明確な夢を持っていて、努力家で、今の自分に満足せず、自分に厳しく、まあ他人にも厳しいんですけれども、でもしっかりと温かい優しさを持っている。そういう人ですよね。Wake Up,Girls!というユニットに、実力的にも、精神的にも、不可欠なメンバーである。それが久海菜々美さんですよね。どこに心配する点があるのか。そう思ってたんですよ。

 

 でも、ある時、ふと考えてしまったんですね。私たちがWake Up, Girls!の活動をとおして見る久海さんの姿は、本当の姿なんだろうか。いや、「本当の姿」という言い方は、恐らく正しくないですね。言い換えれば、久海さんは、Wake Up,Girls!でいる時以外でも、あの久海さんのままでいるんだろうか。そんなことをふと考えてしまったんですね。

 というのは、久海さんがいい子だっていうことは、我々は知っていますけれども、それはWake Up, Girls!の中にいる久海さんでしかない。ユニットでの活動をとおして、彼女がどういう人間かが分かっている。分かった気になっているだけかもしれませんが、いずれにしても、私たちはもう久海さんのこと知ってしまっている。しかし、そこまで久海さんと密接に関わっていない人間にとって、久海菜々美という人間は、一体どういう風に映るのでしょうか。

 

 

 

 

 初対面で久海さんから受ける印象がどうかを考えると、そんなにいい印象ではないような気もするんですよね。というより、久海さんってそもそも勘違いされやすい性格だと思うんですよね。私たちは知ってるじゃないですか、久美さんがどれだけ他人に対して優しいか。どれだけ努力家か。頑張る人か。自分の幼い頃からの夢と、今の仲間とを天秤にかけて、本気で悩むような人であることとか。そして何より、すごいいい子だってこと知ってるじゃないですか。でもよくよく考えてみると、それを知るには、結局のところ、ある程度の時間が要るんじゃないか。よく知らないままに、知ろうとしないままであれば、久海さんはやっぱり、とっつきにくさを持っているじゃないかなって思うんですよね。何かこう、高飛車というか、つっけんどんというか。あっ、この人とはあまり関わらないほうがよさそうだなって。そういう人間性だと思うんですよね。少し鼻にかけるところがあるというか。

 

 

 

 

 例えばですが、わかりませんよ、そんな事を実際に言ったかはわかりませんけれども、中学校に上がったときの自己紹介で、「私は光塚に行くんだ!」とか「だからこの学校生活から早く卒業したいと思います」とか、そういうことを言ってしまっていたとしたら、そんな人が同じクラスにいたとしたら、周りはどう思うか。「何言ってんだこいつ」って、なりそうなもんじゃないかと。最初はね、興味本位で話しかけに行くかな、とも思うんですよ。でも、そこで久海さん、やっぱりちょっと、ツンツンしてるところあるじゃないですか。そしたら、あっ、この人とは距離置いとこ、ってなっちゃうんじゃないかって。思うんですよね。

 

 だからね、ちょっとクラスで浮いちゃうんですよ。この人には触れないでおこう、ってなっちゃう。でもね、中学校って、もう無理矢理に集団行動させられるじゃないですか。授業にしても課外活動にしても。で、体育の授業だったんですよね。バスケットボールだったと思うんですけど、これはもう私も不注意でね、ちょっと久海さんとぶつかってしまって。お互いにこけちゃったんですよ。勢いがあったから、久海さんも結構痛かったはずなんですよ。でも久海さんて、そういうとき我慢するじゃないですか。自分が先に立ち上がってね、私の方にね、手を差し伸べてくれたんですよ。でね、彼女こう言ったんですよ、「気をつけなさいよね」って。言ったんですよ。私ね、久海さんの手を取って、立ち上がりながら思ったんですよ。久海さんって、優しい人なんだなって。もうその時は私も「ありがとう」としか言えなかったんですけど、そこから結構久海さんと話すようになりましてね。そしたらね、全然思ってたような人じゃなくて。ちょっと言葉遣いがきついところはあるけれど、全然そんな人じゃないんですよ。で、それからちょっと経った時に、いい機会だと思って、自己紹介のときのことを聞いたんですよ。光塚目指してるって言ってたよね? って聞いたら、本気みたいなんですよ。真剣に目指してて、そのためのレッスンもほぼ毎日受けてるって。久海さん授業終わったらすぐ帰るんですけど、それが理由だったんだって。よっぽど誰とも関わりたくないのかなって思ってたんですけど、そういうことじゃなくて。ひたむきにね、夢を追いかけていたわけなんですよ。もう真面目な人なんですよ。で、結構仲良くなったころに、菜々美の家に遊びにいったらね、大きな家で。うちなんかとは比べ物にならんぐらいで、グランドピアノが置かれてましたからね。音楽室以外で初めてみましたよ。そうか、こういう環境で育ってきた人なんだなって思ったんですけど、でも本人は意に介さず。いたって普通な感じでいましたから。私もちょっと気が大きなりましてね。好奇心半分、本心半分で、「何かちょっと歌ってみてよ」って菜々美に言ったんですよ。嫌がるかなあとも思ったんですけど、そうでもなくて、むしろ自信満々な顔で、レッスンの歌だったんですかね、それを歌い始めて。もうすごい上手で。私がこれまで生きてきて、聞いたことのない歌声で。言葉にならなかったんですけど、それでも「すごいね菜々美!」って。つい言葉が出てしまったんですけど、そしたら菜々美は少し顔を赤らめながら「当然じゃない!」って。かっこいいし、かわいいなあこの人! って、思ったんですよね。

 11月に文化祭があったんですよ。うちの学校だけかどうかわからないんですけど、全てのクラスがステージ上で出し物をやらないといけない、そういうしきたりだったんですね。うちのクラスは何か劇をやろうということになったんですけれども、誰かがね、せっかくだからミュージカルみたいにやろうよって言い出して。またそんな難しいことを……って思ってたんですけど、菜々美がいるじゃんって。菜々美がいたらなんとかできるんじゃないかって思ってたら、菜々美ね、全然話に入ってこないんですよ。自分は関係ないみたいな感じで。結局、ミュージカルじゃなくて普通の劇をやるっていうことになったんですけど、それでも菜々美入ってこなくて。しかも裏方に回ろうとしてて。いやいやいや、そうじゃないでしょって。ここで前に出なくてどうするんだって思って、私、当たり前のように「主演は菜々美がいいと思います」って言っちゃったんですよね。

 そしたら、クラスもなんですけど、菜々美も驚いた顔をしてて。それを見て私も、これやったかと思ったんですけど、ここで引いたら意味ないって。だって菜々美のいいところ、すごいところ、もっとみんなに知ってほしいんですよ私は。これで菜々美に嫌われたっていい。

 あっけにとられた先生が「久海さんはそれでいい?」って聞いたら、菜々美も「はい」ってなって。変な空気のままその日は終わったんですけど、よくよく考えたらなんて勝手なことをしたんだと思って、すぐに菜々美に謝りに行きました。そしたら菜々美も呆れた顔で「あんなに真剣な顔で言われたら、受けないわけに行かないでしょ」って。一体どんな顔してたんだろうって思いましたけど。それで劇の練習が始まって、そしたらもう、すぐですよ。最初っから菜々美も本気でやってましたからね。みんな驚きに驚いて! な! すごいんだよ! 菜々美はすごいんだよ! って

 

 

 

 でもね、そんなこと、久海さんはやっぱり言わないと思うんですよね。ちゃぶ台返しなってしまいますが、自己紹介でそんなこと言わないと思うんですよね。

 

 

 

 

 むしろ、何も言わないんじゃないでしょうか。結構内弁慶というか、できるだけ目立たないように、光塚の「ひ」の字も出さないでその場を済ますと。でも、そうだからと言って近寄りやすいかというと、やっぱりそうでもないんですよね。深窓の令嬢というか。久海さんの周りだけ、いつも糸がピンと張り詰めているような。簡単に声をかけるのが難しいというか。そんな感じな気がするんですよ。いっつも速く帰るし。

 でも、久海さんのことを知れる機会がありましてね。うちの学校って音楽祭があるんですよ。年に一回、学園祭とは別で、要は合唱祭なんですけど、別に歌だけじゃなくてクラス毎で何をやってもいいよっていう行事なんです。そう言いながら、うちのクラスは普通に合唱をすることになって、楽曲は先生が出してくれた候補から選ぶ方式なんですけど、決まった曲にソロパートがあって。誰がここ歌うんだろうと思ってたら、先生が、「ソロパートは久海さんにお願いしようかな」って当然のように言ったんですよ。正直、「えっ」って思ったんですよ。多分みんなも同じで。何で久海さんなんだろうって。でも、練習をし始めてその理由はすぐにわかったんです。久海さん、すごい歌が上手で。すごいきれいな歌声で。練習が終わるとみんなして久海さんを囲んで、何でそんなにうまいのって聞いてたんですよ。そしたら、あの光塚歌劇団を目指してるんですって。それはすごいなあって。絶対行けるよ! ってすごい無責任なことも言っちゃったんですけど、でもその後の練習でもすごくって、菜々美のおかげで合唱も大成功で終わって…… 

 

 

 

 

 久海さん、学校でうまくやれてますね!

 

 

 なんの心配も要りませんね。ああよかった。本当によかった。ああ、久海菜々美さん。これからもどうか、心身ともに健やかであれ……。今日は、安心して眠れそうですね。