死に物狂い

他人から影響を受けやすい人間のフィクション日記

『Eastward』をクリアした

『Eastward』をクリアした。以下、ネタバレを含む感想。

 

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 面白かった。ゲームシステムはおおむね2Dゼルダであり、比較的パズルが多いが、難易度としてはちょうどいい塩梅。ボス戦では倒し方・ルールを探る面白さがあり、どの章でも楽しめた。

 キャラクターの表情が豊かであり、見ているだけで楽しい。テキストもテンポがよく、読むのが億劫にならない。緊張と緩和のバランスがとられていて、陰鬱な空気の後には和やかな雰囲気がやってくるため安心である。(逆もしかり)

 一方で、世界観の説明は全体的に不足気味。第1~2章で得られた「これから世界の謎が解かれていくのか!?」とのわくわく感は、プレイを進めるにつれて徐々に薄れていく。あんまり説明しないつもりだな? ということが段々と分かっていくため、その意味での期待がなくなっていくのである。この理由から、はっきりとした種明かしを物語に求めるプレイヤーには強くおすすめできない。クリア後消化不良になる可能性が高い。

 加えて、ステージを後戻りできない点も要注意である。たしかにどこにもそんなことは謳われていないのだが、なんかこう雰囲気から、ステージを行き来できそうな気がするのある。しかしながら、そのようなシステムにはなっていない。ゲームとして特段に取り逃しの要素があるわけでもなさそうだが、注意が必要である。

 上記のような要素は、好みによって多少の高低はあれどポジティブに思われる。一方で、道中の敵によく手間取る。一般エネミーの耐久力が妙に高かったり、動きがトリッキーであったりして、こちらの攻撃が当てにくい。これらがパズルと組み合わさった結果として、ストレスに感じることがよくあった。ちょっとプレイを続けたくなくなる要素の一つである。とにかく殴ってもなかなか倒れない敵が多かった印象である。全体的に、もう少し柔らかくしてもよかったように感じる。

 また、個人的には6章以降の展開をもっと丁寧に書いてもらいたかった。上記のとおり、そもそもストーリーについては「よく分からない」の感情が加速していくのだが、終わり際はより顕著になる。もろもろの経緯と背景が分からない。想像で埋めようにもなかなか……といったところである。ラストシーンもハッピーエンドとは言えるのかもしれないが、はたしてどうしてそうなったのか。

 それでも、結論的にはプレイしてよかったと思える作品である。ジョンと珊の旅路を見届けたことの満足感で、結局はお釣りが来るような不思議さを備えている。