ファンが演者に「おめでとう」という言葉を(さらに言えばこのタイミングで)かけるのが適切なことなのかはよく分かりませんが、少なくとも今の私にはそれ以外の言葉が浮かびません。
だから私はとにかくおめでとうと言います。WUGちゃんおめでとう。本当におめでとう。私でさえこの感情なのだから、古参の方はそれこそ感無量なのではないでしょうか。そんな皆さんもおめでとう。いや、やはりそれが適切かは分からないですけれども。ともあれここまでWUGちゃんを支えてくれてありがとう。もちろんWUGちゃんもありがとう。そしてWUGちゃんに関わる全ての人にありがとう。
この日、私は全くもって予想だにしない最高のクリスマスプレゼントをもらえたように思います。というわけで、12/22(土)『Wake Up, Girls! FINAL TOUR - HOME -~ PART Ⅱ FANTASIA ~』の横須賀公演(昼・夜)に参加してきました。この日をもってPart2は終了しておりますが、以下公演のネタバレを含む点について予めご了承くださいますと幸いです。
神奈川はいつも雨
台風直撃の座間公演、雨模様のカルッツ川崎*1に続いて小雨がぱらつく横須賀。意図的とも思えるそのタイミングに、その内声優界二人目のレジェンド雨ウーマンとして君臨されることになるのではと田中さんへ畏敬を抱きつつ、汐入駅から徒歩2分と好立地な横須賀芸術劇場に感謝の気持ちを覚えました*2。なお芸術劇場の外観は何か砲台の一つや二つでも現れそうな姿をしています。重厚ですね。
入場
もぎりを終え入場すると、お花の香りが一面に漂っていました。神奈川ということで田中さん宛のフラスタが多い印象。その中に一つ奥野さん宛のもの。うん、いつものWUG現場だ。黄色ベースのスタンドが多く、とても一体感がありました。話はずれますけど、冬でもひまわりって咲くんですね。それこそ同じ神奈川県で有名な場所があるようで、やっぱり田中さんは生まれるべくして神奈川に生まれたんですね。(論理の飛躍)
いい会場なんですよ
○座席位置 昼:3階左最前 夜:一階G列右部
もはや毎回言っておりますが、今回のツアーの会場って本当にどこもいい会場なんですよ。いや、主観的な話にはなるんですけれども、特に今回の芸術劇場はオペラハウス仕様ということで、席は5階まであるわ、馬蹄型で会場全体が包み込まれているようだわで、一歩足を踏み入れた瞬間から感情が昂ると言いますか、ここが人とペンライトで溢れる光景を早く見たくて仕方がありませんでした。
上から見下ろしても、下から見上げても、その荘厳さに心が踊り、また、立ち見の方がいたおかげで、より奥行きが感じられてとても良かったように思います。非常口のライトすら整然と並ぶことで一つの意匠になっており、千穐楽にはこれ以上ない会場だったと思われます。
辺りを見渡し、カメラの三脚を確認できたところで一安心。これでPart2が世に出ないことはないでしょう。ところでPart1の放映はいつになるのですかアニマックスさん。
憑き物が落ちた
何を見てそう思ったのか定かではないものの、WUGちゃんもワグナーも、どこか憑き物が落ちたかのような雰囲気を感じました。
最初のゲームパートで敵を倒したときに拍手が起こったのが一つ象徴的だったように思うのですが、公演中とにかく「全力で今を楽しむ」という気概があらゆる方向からひしひしと伝わってくるのです。盛岡公演の反動でしょうか。悲しさとか寂しさとか、そういった感情はひとまずあの日に全て置いてきたかのような。壇上と客席がお互い開き直って声を出し合い、笑い合い、最高の時間を作ろうとしているその空間は、非常に幸せに溢れたものでした。
祝祭感が強いと言いましょうか。その場に居るすべての人の一挙手一投足が、ただひたすらにその場を良いものにしようという意思に溢れている。だからもうとにかく楽しい。後のクリスマスパートもあわせて、最もFANTASIAを体現した、言い換えればFANATSIAという世界がついに完成した公演だったと感じます。ああ楽しかった。
リーディングライブ
「ライブでクリスマス企画をやるならどんなものがいいか」との7人話し合いを描いていたのですが、ほとんどが次の企画への前振りでした。
ケーキ、コスプレ、プレゼント。みんなから案が出るたびに迷走するリーダー。それを静止する副リーダー(ここの奥野さんの「ちょっと待ってリーダー」の促音の発音がすき)。そこすっと助け舟を出すセンター。ここの三角形が素敵。
まゆしぃによって話題はクリスマスソングに。『ジングルベル』の「鈴が鳴る~♪」以外の歌詞が分からないというあるあるネタに始まり、定番曲を全てまゆしぃを絡めた替え歌にするとの流れ。個人的に一番好きなのは『きよしこの夜』の替え歌で、「まゆしぃ この夜 星になるんだ~」と、微妙に字余りなところがツボです。みんなが真剣な顔で歌っていたのもいいですね。
余談ですが、靴下にみかんを入れるというのは、靴下に小銭を入れて作る防犯グッズの簡易版のように思われ、それを客席に投げて頭にでも当たった日には軽く脳震盪ぐらいは起きそうなので止めてよかったと思います。(何の話)
クリスマス企画
〔歌のお姉さん〕(青山さん・高木さん)
何がどうなってこの企画が生まれたのかは青山さんと高木さんからゆっくりと聞いてみたいところではありますが、突発的にNHK教育の世界になりました。童心に帰るオタク。
可愛らしいオリジナルの振り付けとともに、『あわてんぼうのサンタクロース』と『ジングルベル』の二曲を歌唱。ジングルベルでは途中で「一緒に歌ってね~」と優しく呼びかけられたのですが、「鈴が鳴る~♪」の次がもう分からない。さっきリーディングライブでもそう言うてましたやん。あと青山さん、「走れソリよ~」のときの手の動き。それはソリやない。機関車や。
〔寒い夜だから…〕(吉岡さん・永野さん)
『7人のアイドル』カラオケパートを完全(?)再現。「見たことあるやつや!」と熱狂。ちなみに永野さんが退場時に羽ばたいておられたのですが、あれは何でですか。
〔ホーリーナイト〕(田中さん・山下さん・奥野さん)
とらドラは青春。奥野さんの甘々な歌声は久しぶりに聞いたような気がする。
〔ゆき模様 恋のもよう〕
『ゆき模様 恋のもよう』綺麗すぎ問題。これは「『ハートライン』可愛すぎ問題」と対をなす難問ではないかと勝手に思っていますが、ステージ1階・2階を大きく使い、メンバーが行ったり来たり、入れ代わり立ち代わり、とても奥行きの感じられる美しい曲目でした。単に私がそういう壇上を広く使った演出を好んでいるだけだと思うのですが、この曲を上階から俯瞰して見られたのは、また一つ幸せな体験だったと感じています。本当にこのツアーの上階席は全くハズレではありません。よくWUGちゃんたちが「ステージからの光景をみんなにも見させてあげたい」と言いますが、逆もまた然りだなと思うところです。
曲の途中でプレゼントボックスが2つ登場し、客席を練り歩きながらプレゼントを投げるWUGサンタ。よくWUGちゃんたちは「ワグナーの笑顔」を話題にしてくれますが、これも上から見ているとはっきりと分かるといいますか、もうみんなとにかく顔が綻んでいる。投げられたプレゼントを奪い合うということもなく、ニコニコしながらペンライトや手を振っている。いやあいいですね。本当にこう「見守る」という感じですよね。いいですね。何回言うんだと言う感じですけど、いいですね。
Wake Up, Girls! MEMORIES
この映像もソフトに残るんですね~ああよかった~……残りますよね?
スタンディングオベーション再び
夜公演、これまでと同じように『雫の冠』が終わり、Part2もいよいよクライマックスかと思った矢先に壇上からWUGちゃんが姿を消し、降りてくるスクリーン。明白なサプライズの始まりに、雫の冠*3によって張り詰めた空気は、より一層に緊張し、場がざわつきながらも静寂に包み込まれるという矛盾した状況に陥っていました。
そうして始まったのは過去のライブを振り返る映像。私が知らない頃のWUGちゃんが次々と流れていきます。そして時は2018年に。今となっては懐かしさすら感じられるPart1の様子がWUGちゃんのコメントともに映し出され、私の鼓動も早まっていきました。一体何が起こるというのか。
ワグナー全員が固唾をのんで見守る中、スクリーン上に現れた「FINAL LIVE」の文字。そしてその場所はさいたまスーパーアリーナ! その瞬間、歓声とともに立ち上がるワグナーたち。スタンディングオベーション再び。まさかこんな短期間に二度も体を動かさせられることになるとは。短くはない歳月をかけて紡ぎ紡がれ繋がれてきた物語が、ようやく結実したような感覚を覚え、私の目からは自然と涙がこぼれていました。
Beyond the Bottom
思えば「解散」を掲げたツアーは、そもそも底の底から始まっていると言えるかもしれません。「生き続ける」ことがコンテンツの目標であるならば、終わるために始めるというのはそこに真っ向から反してしまいます。走りきったその先に、ユニットとしての未来はないのです。
しかしながら、その底を乗り越えた向こうには何があるのか、ついつい希望を持ってしまう。もとい、希望を持たずに生きることも人間にはまた難しい。
傷だらけになってでも 必ず僕は君を護る。
それが僕には最後の 生命(いのち)の燃やし方だから
世界はまだ闇の中 でも新しい朝は来るさ
そう、絶望の先にほんとうを見つけたいんだ
解散によって絶望の底に叩き落とされたワグナーではありましたが、WUGちゃんたちの力もあって闇を抜けつつあります。いや、すでに抜けたのではないでしょうかと、この日の公演を通じて思うわけです。また、絶望にあったのはWUGちゃんたちも同じだったのではないか。そこは相変わらずの想像でしかないわけですが、さすれば今度はワグナーが「僕」になる番なのでしょう。私たち8人が一緒になって、絶望の先に何があるのか見つけに行くのです
絶望は希望の種 前を向き祈り捧げるよ
さあ、混沌(カオス)となったこの自由から逃げ出そう
未来の永遠さに私たちは苦しむわけですが、FINAL LIVEの存在によって、何か一つ光明が見えたような気になっているのは私だけでしょうか*4。
again and again
5周年記念衣装のリボンには、WUGちゃん各人が希望したワンフレーズが印字されていますが、これらがどこかWUGちゃんを取り巻くラストイヤーの状況を示唆しているように思えて仕方がありません。
すなわち、笑顔を絶やさず(Keep smiling)、何度も何度もライブや他の活動を繰り返し行い(again and again)、夢を決して諦めずに進んだ結果(Never give up!)、かつて抱いていたSSA単独との希望が叶い(Hope revived)、初春にサクラが如く花開き(Like a Sakura)、その結果に(我々も)喜びまたは感謝し(Hallelujah)、全てが終わった後新たなステージに挑戦していく(Try Everything)。
4月の時点でもう解散は決まっていたでしょうし、最終的にユニットとしてどこまでできるか、条件付きだったとしても、ある程度全体の計画は提示されていたのかもしれません。3月の空白はあまりにも不自然でしたからね。いずれにせよ、彼女たちの想いが彼女たち自身を今の状況に運んできた、と考えるのは……出来過ぎですかね。(反語)
アンコール
〔雨上がりのミライ〕
恐縮ながら私はWUGとミルキィさんとの物語を知らないので、そこはぼやけてしまうんですけれども、自分の年代的に大いにテンションが上った曲。余談ですが、アニメ一期ってもうほぼ10年前になるんですね……。ハルヒが15年前になりそうという事実よりも驚きです。
何にでも意味合いを求めるのは本当に悪い癖だと思うのですが、昼公演のアンコールでなされたこの曲は、そもそも神前さん作曲というとこでご縁も感じるところ、しかし単に横浜に近いから、またはミルキィホームズへのアンサーとしての意味合いで演じられたわけではなく、夜公演とその先の未来に向けた歌だったのではないかと思っています。
おしゃべりしすぎてHappy time
急いで坂道のぼる
短いわオトメ時間 ムダにしてるヒマないっ
あいさつしてよねHappy road
雨上がりの窓キラリ
前向いて 横向いて 始まるかも次のミライ
坂道を人生とするのであれば、10年前に青山さんがミルキィのオーディションを受けたとき(奥野さんも)には既に今のミライは始まっていたのでしょう。そして雨も上がり、次のミライがもう始まっているのです。
夢は覚めた。でもまた夢を見る。
夢はいつか覚めるもの。物事に終わりは来るもの。永遠に続くものはなく、また永遠が本当に良いことなのかどうかは、古来から様々な創作物で語られてきたところであり、私個人としてはやっぱり「終わり」があったほうが良いと思っています。そこには特有の美しさがありますし、終わりはまた始まりにつながると思うからです。
私たちは12/22をもって一つの夢から覚めました。3ヶ月間をかけてWUGちゃんたちが作り上げた夢の世界は、ここで終りを迎えました。
しかし、WUGちゃんたちはすぐにまた新しい大きな夢を作ろうとしています。いや、もはやそれは「夢」ではありません。みんなが夢見た世界が「現実」となったのです。FANTASIAによって夢と現実は繋がりました。
私はツアーPart1のアンコールを思い出します*5。どうして『7senses』で幕を閉じたのか、当時はそこから7人のツアーに対する意気込みみたいなものを感じ取ったわけですが、今となってはそれに加えてもっと純粋な7人の想いが込められたものだったのかもしれません。約束の地で会えることを心から楽しみに待っています。(余った有休を全力で打ち込もう)
でもその前に
皆さん忘れていませんか? かくいう私は一瞬記憶から飛んだのですが、実は再来週からツアーのPart3が始まるんですよ。門出ですよKADODE。立ち位置的にはFINALという門出に向けたKADODEになるのでしょうか。Part1で最大限の助走をつけて、Part2で夢の世界を作り上げたWUGちゃんたちは、平成最後の第4四半期に何を見せてくれるのでしょうか。個人的に初めて訪れる土地が多いことも併せ、わくわくした上で新年を迎えたいと思います。(青山さん推しの皆さま、フラスタ期待しております。)
今日は多くの人がアニメJAMで盛り上がっていることと思いますが、寒さ厳しくなる折、どうかお体にお気をつけて。寒い・人多い・乾燥している・大声を出すなんてもう衛生環境的には大変ですからね。オタクは体が資本です。新年早々に、また皆さまと熊本でお会いできることを心から楽しみにしております。なお、今日のWUGちゃんねるをリアタイで視聴できるかはわかりません。
いろいろ
〔青山さんの器量〕
SSAという巨大な箱でライブを行うことへの不安を吐露するメンバーに対して、おちゃらけた調子は含みながらも、「自分たちがワグナーをSSAに連れて行くぐらいの気概を持たなくてどうする!」(意訳)と力強く言い放った姿には感服。
吉岡さんと一緒に舞台袖で震えるぐらいですから、ご本人も不安でいっぱいなはずなんですよ。でもこういうことを言う。言える。リーダーって往々にして損な役回りと思うんですが、そこをものともしない姿勢は尊敬します。
〔田中さんの言葉〕
個人的には田中さんの「初めてWUGのライブに地元の友達を呼んだ」というのも良かったなあと思うことの一つでした。単に過去の自分を知っている人たちに、今の姿を知られる気恥ずかしさがあったということなんだろうとは思うのですが、もしそこに「WUGが彼女にとって友達に見せても恥ずかしくないものになった」という意味合いも含んでいるのであれば、それはワグナーとしては幸せなことだなあと思う次第です。
〔その他〕
・『セブンティーン・クライシス』は会場が首都圏に近づくほどにコールが激しくなるような気がする。というかMIX率が高い。
・機材席横に業界人的な方々がおられたが、あれがいわゆる関係者席なのだろう。
・雫の冠のバック、てっきり映像を流していると思っていたのだが、あれもLEDなんだな。と、近くで見て初めて気がつく。でも最後の一滴は映像だったかな。
・Clockのサンプルはもっと早くに出しておけばよかったのではと思うが、えてして商業のスケジュールとはそういうものかもしれない。
・涙ファーガチャは1/2
・パジャマを脱ぎ捨てる青山さんを見るのもこれが最後か…
・私のわぐらぶ会員番号は6000番台後半である。過去から継続されている方がどの程度居るのかは分からないが、まずもって短期間でも会員だった方でも、とにかく会員全員が集まるようなことがあれば幸せだなと思う。もちろん、私のような新しい人間も。
・雨上がりのミライ歌唱後、惜しくも雨は上がらなかった。