反社条項(暴排条項)というのは今や契約書上に設けられて当然の存在になっている。と、このような書き方をするのは、私がそうなる前の世の中を知らないからである。そもそもいつから設けられるようになったのかにつき、私はこれまた当然のように知らないのだが、ネットの一情報によれば平成19年以降に各都道府県で暴力団排除条例が制定されるようになってからということらしい。
そういう歴史を知ることは深い理解のために重要なことだとは思うが、ひとまず置いておくとして、ふと契約書上の反社条項を見たときに今更ながら改めて疑問に思うことがあった。当事者が一方的に解除できる要件として、「不当に反社会的勢力を利用したと認められるとき」との規定につき違和感を覚えたわけである。
何かというと、「正当に反社会的勢力を利用することはありえるのか」ということである。例によって私がバカなだけだと思うのだが、あえて「不当に」という文言を付ける必要があるのか。何であれ反社勢力を利用してはならないのではないか。
当該文章で検索をかけると、大阪府警備業協会のサイト上に掲載されている「警察庁が示した暴力団排除条項モデル」とのPDFファイルが先頭に表示されたので内容を見てみたところ、「自己、自社若しくは第三者の不正の利益を図る目的又は第三者に損害を加える目的をもってするなど、不当に反社会的勢力を利用したと認められるとき」という文脈で使用されている。これでもやはり正当に反社勢力を利用するときは含まれないのではないか。どんな関わり方であるかにかかわらず規制するというわけでもないということか。よくわからん。