ひきわり算盤

他人から影響を受けやすい人間のフィクション日記

ある男の独白:存在しない取調記録

(筆記者注:以下は音声ファイルの書き起こし。空調機器?の音が小さく響いている) 刑事さん。俺はね、申し訳ないけど本当にそんな悪いことをしたとは思ってないんだ。ずっと一つのことを考えていただけさ。それは本当にシンプルで簡単で、おんなじように考…

読書時の姿勢に迷う男

本を読むという行為をするようになって数十年が経つが、いまだに姿勢に悩む。精神的な方ではなく、物理的な方の話である。通勤時などは必然的に立ちながら読むことが多い。首にダメージが行くのを避けたいがため、微妙に上方向を向くのだが、決して読みやす…

パン屋で迷う男

パン屋に行きましょうよパン屋にね。パン屋さんにね。あなたの街のパン屋さん。駅前にあるパン屋さん。スーパーの中のベーカリーコーナー。どれでも結構です。パン屋さんに行きましょうね。 パン屋さんに行くと迷うんですよね。大体狭い店内なのに迷うんです…

2024年に遊んだゲーム(of the Year)

今年は80作品ほどプレイしたらしい。覚えているものを振り返っておこう。 最も印象に残ったゲーム 未解決事件は終わらせないといけないから 印象に残ったゲーム SANABI Baldur's Gate 3 龍が如く8 LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶 Detroit: Become Human Fact…

解き放たれる記憶のループ:または、『Wake Up, Girls! FINAL LIVE ~想い出のパレード~』 応援上映感想

WUG

2024年8月某日 いつものようにいつものごとく労働に勤しんでいると、ポケットの中で聞き慣れないバイブ音が鳴った。このような現象はたまにある。思えばあの時もそうだった。何か嫌な感じがしたのである。不穏なGmailの通知を今でも忘れない、と言うと大げさ…

作業と感じるかどうかの境界を探る:『Crime Scene Cleaner』感想

『Crime Scene Cleaner』をクリアした。面白かった。以下はネタバレを含む感想。 store.steampowered.com 何かしらの原因によってぐじゃぐじゃになった殺人現場を掃除するゲームである。血痕を拭き取り、散乱した瓦礫を拾い、死体を運ぶ。文字面だけだと非常…

キュートである:『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』感想

『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』をプレイしたところ非常に面白かった。以下、ネタバレを含む感想。 www.nintendo.com ティアキンのような遊びを2Dでもやろうとした、という論評だったかコンセプト説明だったかをどこかで見た記憶がなきにしもあらずだが、ま…

『営繕かるかや怪異譚 その参』を読んだ

『営繕かるかや怪異譚 その参』を読んだ。以下はネタバレを含む感想。 www.kadokawa.co.jp 本シリーズは、家具や家の不具合によって霊的な差し障りが生じているところに、営繕屋である尾端が住民に聞き取りを行い、原因を想定して営繕を施すともろもろのよろ…

キャラクターの行動をどこまで許容できるか:『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』感想

『ファミコン探偵倶楽部 笑み男』をクリアした。以下はネタバレを含む感想である。 www.nintendo.com ファミコン探偵倶楽部シリーズについては、Switchで発売されている、リメイク版の『消えた後継者』のみプレイ済みである。同じくリメイク作の『うしろに立…

FF5、ムーアの大森林

幼少期のころ、近くに住む年の離れた兄ちゃんとよく遊んでいた。兄ちゃんグループに混ぜてもらっていた形だが、地域の子どもはみんな友だちみたいな雰囲気だったので、いろいろごちゃまぜである。 兄ちゃんの家には色々なゲームがあった。大量というわけでは…

「ンゴ」の表象

図らずも時間の流れを実感してしまうことがあるが、これもそのワンシーンだろうか。いつものようにVTuberの配信を見ていた時のことである。 www.youtube.com 上記配信はいわゆる大喜利企画であり、その中で「大神ミオがよく使う語尾は?」とのお題が出された…

引退した企業勢VTuberに関する諸権利の帰趨について

企業勢のVTuber、その中でも特に著名な方が卒業との運びになると、そのVTuberの帰趨はどうなるのかが話題に挙がる。 VTuberの卒業とは言いつつも、意味合いとしては「引退」が正しい。そして、よく「どうせまた他のVに転生するんだろ」とか「配信者時代の名…

宮森でも落合でも矢野さんでもなく興津さんの立場に近づいていく

何回も書いているのにもはや最近は忘れつつあるが、最初にSHIROBAKOを見たのはもう働き始めていたはずである。当時の年次的に、感情移入したのは宮森の立場であった。最若手の立場ながら業務を回す宮森。疲労困憊の宮森。絶望する宮森。でも周りからの信頼は…

イヤイヤゼミの夏

夏の風物詩であるセミだが、近年は種別ごとの生息数に格段の差が見られるようになり、聞こえてくる鳴き声と言えばクマゼミのものが多い。夕方になればヒグラシの声も遠くから聞こえるが、かぼそく今にも消えてしまいそうである。それでも、アブラゼミやニイ…

BitSummitに行ってきた:遊んだゲームのメモ

BitSummitに行ってきた。毎年京都で行われている、インディーゲームの展示会である。今年は『BitSummit Drift』との表題らしい。せっかく足を運べる距離であるのに、毎年開催日が過ぎてからその存在を思い出し、来年こそはと思いながら歳をとっていたところ…

『VTuberの哲学』を読んだ:または、怪人ゾナーはVTuberであるか

『VTuberの哲学』を読んだ。 www.shunjusha.co.jp 読んで思ったのは、「本書で展開される論はVTuber固有のものと言えるだろうか」ということである。言い換えると、「どうして怪人ゾナーはVTuberではないのだろうか」との疑問が生じた。少し考えてみたい。な…

なぜ『The Game of Sisyphus』のプレイ映像を見ると胸が苦しくなるのか

『The Game of Sisyphus』というゲームがある。 store.steampowered.com もはや無名ではなく、岩おじの名で親しまれたり憎まれたりしているから、どういうゲームであるかの説明は不要に思われるが、端的に言えば、岩を転がしながら長い坂を登っていく、本当…

『神無迷路』をクリアした

『神無迷路』をクリアした。とても面白かった。以下、一定のネタバレを含む感想。 store.steampowered.com グラフィックをひと目見て分かるとおり、かまいたちの夜フォロワー作品である。と言っても、それは外観的、UI的な部分の話で、ストーリー、あるいは…

『汚穢のリズム』を読んだ

『汚穢のリズム』を読んだ。 sayusha.com 先日、本屋に行った折に目に触れ、興味を惹かれて購入したものである。これは本題ではない。 sorobanya.com 汚穢(おわい)という言葉を知らない。穢という文字はそれだけでどこか忌避感を催すものであるが、その由…

ツナマヨを二つ買うべきなのか

お昼をコンビニで済ますなら、おにぎりを食べるのが最適解と言われている。腹が減るなら米を食え。じゃあお弁当でもよいのでは? 正論である。しかし、せっかくお弁当を買うなら、飲食店が売ってるやつとか、惣菜屋が売っているやつとか、そういうのを買った…

あかん、本屋面白すぎるのターン

本屋にね、本屋に行ったんですよ。いつも行ってますけどね。仕事の帰りに寄ってますけどもね。でも、休みの日にわざわざ本屋に出かける。それも大きな本屋に。これがいいんじゃないでしょうか。 仕事の帰りに行くって言ってもね、大体閉まってるんですよ。街…

『ひまわりっ!』とeufonius

『ひまわりっ!』というアニメがあった。ビックリマークを付けるか付けないかで全く別の作品になってしまうので注意が必要である。忍者の方のひまわりであり、健一レジェンドの方ではない。 そう、忍者アニメである。ゼロ年代特有の美少女アニメ……というほど…

どこかにはいて、どこにでもいるが、ここにはいないVTuberなるもの

引退した、あるいは契約解除されたVTuberのグッズを販売することは可能か。ここで想定しているVTuberとは、企業所属のタレントであり、かつ現実で人体での活動をしないタレントを指す。一般的に企業はタレントの名称について商標権を登録しているところ、仮…

脇目も振らずにイージーモードを選ぶ

ゲームの話である。難易度が選択できる場合、ノーマルモードを選ぶ。ノーマルと呼ぶぐらいなのだから、それが開発者側の基準であり、作品を一番楽しめるはずだという感覚である。 しかし、それはもう昔の話で、今となってはイージーモード即決である。一旦ノ…

『情報セキュリティの敗北史』を読んだ

『情報セキュリティの敗北史』を読んだ。 www.hakuyo-sha.co.jp こんな時代だし遅ればせながら何か情報系の資格を一つぐらい取っておくかと、IPAの情報セキュリティマネジメント試験を受けた。その学習のさなか目に止まったのがこの本で、結局読んだのは試験…

好きな『好きな◯◯発表ドラゴン』の好きなところ

毎度のごとくインターネットの流れから6周遅れぐらいのスピード感でようやく『好きな◯◯発表ドラゴン』の魅力に触れた私は、その裾野の広さ、すなわちあらゆるジャンルを知る入口のさらに入口的役割を果たしている数多のドラゴンに感動を覚えながら、世の中に…

春の訪れとともに大腸カメラで飢えを知る

春はいいよなあ、とつぶやきながら歩いて思い出すのは志村けんだが、こんな変なおっさんはおらんやろと思っていた幼少期の私は、よもや自分自身がそのようなおっさんになっているとは思いもよらないだろう。とはいえ、他人に絡むわけではないので、迷惑度合…

『コレクターズ・ハイ』を読んだ

『コレクターズ・ハイ』を読んだ。 bookclub.kodansha.co.jp 「推し活」がテーマではあるのだが、もう少し敷衍して、自身の行為がいかにして正当化されるかを描こうとしたのかなと感じた。推しを理由にどこまで自分の思考を理屈づけられるか、ということであ…

『ハジケテマザレ』を読んだ

『ハジケテマザレ』を読んだ。本当に面白かった。 bookclub.kodansha.co.jp 文芸好きで金原ひとみ(敬称略)を読んだことがない人は少ないだろうと思うのだが、そう言う私は読んだことがなく、厳密に言うと芥川賞受賞当時に『蛇にピアス』を手に取ったことは…

はてな匿名ダイアリーを通して著作権を考える

【2024.04.23追記:ここから】 本記事の公開後、下記増田の作者様から直接ご連絡を頂戴し、動画の作成および公開について快く承諾をいただけた。この場を借りて改めて御礼を申し上げるとともに、折角なのでということで再録・編集した動画を下記のとおり動画…